テクテク歩いて、メイン会場の1つ日本郵船海岸通倉庫に到着。
ついに、勅使川原三郎さんのパフォーマンス
《時間の破片 - Fragments of Time》が観られる。
勅使河原三郎さんの名前だけは、学生の頃から知っていた。
いつか観てみたいと思っていたので、この機会は逃す訳にはいかない。
来る前に公式サイトで調べた所、時間は13:00~18:00とあった。
5時間もあるけど、1日何回公演とかそういう記載じゃないし
いったい、どういう時間の割り振りになっているんだろうかと思っていた。
この時間表記の意味は、後ほど知ることになる。
到着してすぐ、チケット売り場の前を横切ったとき
「本日のイベント 大巻伸嗣《Memorial Rebirth》 新港パーク」と
小さく書かれた看板が眼に入った。
うわぁ、やられた…
この会場は1Fから3Fまでの3フロアが使われている。
今回は、1Fから2Fへ行きたい場合、外階段を使って入るようになっている。
とりあえず、1Fから観ていくことにする。
入ってすぐ、通路がロープで仕切られていて、奥に人が並んでいるのが見えた。
通路の反対側にも人が列を作っている。
1Fは、勅使川原三郎さんとヘルマン・ニッチュさんの作品ブースしかない。
なるほど、どっちも並ばないと観られないのか…
そう思ってとりあえず、右側の列に並ぶ。
少しして、自分の後ろにも人が並びだした。
そのとき、スタッフさんがアナウンスを始めた。
「こちらの列は勅使川原三郎さんのブースを待つ列となっております。
ココからですと大体1時間待ちです。
ヘルマン・ニッチュさんのブースは待ち時間無しでご覧頂けます」
なんと!
左右に分かれていた列はどちらも勅使川原さん待ちの列だった。
しかも今から1時間待ち…
この会場は18:00までしか開いてない。
到着したのが16:20くらいなので、今から1時間並んで
勅使川原さんをちょっと観ても、他のブースを観る時間はあまり残ってない。
列の後ろに人がくるたびに、スタッフさんが同じ説明をする。
1時間と聞いた段階でみんな諦めて帰っていく。
そんな状態が20分くらい続いて、結局、列に増えたのは2人だけ。
だったら、もう1つのブースを先に観ればよかった。
ちなみに、ヘルマン・ニッチュさんのブースはR15になっている。
人が入っていくときにちらっと中が見えたけど
どうやら、昔「夜想」とかで読んだようなグロい展示物があるようだ。
約50分程待ったところで、人がぞろぞろと出てきて
ようやくブース内に入ることができた。
この中は撮影禁止。
通路も真っ暗でよく見えない。
誘導されて進むと、ほのかに光る空間が見えた。
ブースは奥に細長い形状で、手前に客が詰め込まれているような状態。
はっきりいって狭い。
椅子もあるみたいだけど4~5人座れるだけで、後はみんな立ち見。
空間にはノイズのような、瞑想曲のような音が流れている。
両サイドの壁には、グラスファイバーのようなものが無数に光っていて
床には、砕けたガラスがびっしりと敷き詰められている。
その空間の奥に、ほんのりと暗い人影が見えた。
勅使川原さんだ!
すこし動くたびに、敷き詰められたガラスが砕ける音が響く。
照明がゆっくりと変化していく。
だんだん明るくなって勅使川原さんの姿も認識出来るようになった。
それと同時に両サイドの壁もはっきりと映し出される。
グラスファイバーが光っていた訳じゃない。
ガラスの破片がびっしりと壁に突き刺さっているのだ。
さっきは壁の裏側から照明を当てていて
壁に突き刺さったスリット部分から、ガラスの断面を光らせていたのだった。
壁の両サイドと床をガラスの破片で囲まれた美しくも異常な空間。
その中で全身に黒い衣装をまとった勅使川原さんが
まるで太極拳のようにゆっくりと舞っている。
そうかと思えば、急に床に座り込んだりする。
そのまま、ガラスの破片で埋め尽くされた床に寝転がってしまった。
頭はスキンヘッドで、両腕は剥き出しの状態。
そんな状態で、頭や手足を砕けたガラスの床に打ちつけたりしている。
恐ろしいほどの緊張感が空間を包み込む。
ガラスの破片が、タイトルの「時間の破片」とするならば
時間に囚われ、逃れられず苦悩する姿なのかもしれない。
勅使川原さんの動きは、こちらには全く読めない。
すべては勅使川原さんが赴くままに進行していく。
このパフォーマンスに、始まりと終わりはあるんだろうか…
ふとそんな事を考えた時に、驚愕の事実に気づいた。
公演時間が13:00~18:00になっていたのは
この時間内に何度か上演するということではなく
きっと、5時間ぶっ通しで行われるということなんだと。
コレを5時間続けるって…尋常じゃない。
ある意味ハイになってないと続かない気もする。
しかし、本当にハイになっていたら、壁に突き刺さったガラス片に
突っ込んだりしてしまうかもしれないし
観客に向かってガラス片を投げつけてしまうかもしれない。
でも実際は、壁に近付いても決して突っ込んだりしないし
ガラス片を手に取っても、決して観客の方向には投げない。
自分の中で、常に理性が闘っている状態なのかも。
コレは最後まで観なきゃいけないと思った。
このパフォーマンスがどのように終焉を迎えるのか
確かめないと意味が無いと思った。
もう他の作品を観るのは諦めた。
18:00まで残り40分くらいになった時に
勅使川原さんが観客と対峙するように座り込んで動かなくなった。
表情ははっきりと確認でき、どこか微笑んでいるかのようにも見える。
力強い目は観客を通り越して、どこか向こうを見据えている。
そのまま約15分微動だにしなくなった。
そうしている間にも、何人かの客がだんだん入れ替わっていく。
正直、殆ど寝てない状態で(24のせいw)、今日1日中歩き回って
ずっと立ちっぱなしだったので、かなり辛くなってきたけど
ココで出て行ったら負けだと思って耐えることにした(苦笑
ゆっくりと、しかし時折激しく動きながら、勅使川原さんの舞は続く。
18:00になって、いよいよ終わりがくるのかと目を凝らしていたけど
全く終わる気配がない。
そのままパフォーマンスは続き、18:20を過ぎた頃
ゆっくりと終焉を迎えた。
まるでイリュージョンのように。
どこからともなく拍手が沸き起こる。
余韻に浸る間もなく、スタッフさんに退室を促され外に出ると
辺りはすっかり夜になっていた。
もちろん隣のブースも真っ暗。
思えば、ブース入場から約1時間30分も経っていた。
やっと時間から開放されたようです。
観られなかったブースは、また次回ということで。
とりあえず、ビールでも呑みに行こう。
横浜トリエンナーレ2008 TIME CREVASSE
2008年9月13日(土)~11月30日(日)
一般 ¥1800
- メイン会場 -
・新港ピア
・日本郵船海岸通倉庫
・横浜赤レンガ倉庫1号館
- その他の会場 -
・三溪園
・大さん橋国際客船ターミナル
・ランドマークプラザ
・運河パーク
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